「哀シャドー」は、オイラのネーミング第1号

よもやま広告業界

オイラの読解力は、小学校1年生時点でほぼ完成されていたように思う。漢字を覚えたのも漫画のおかげだった。「少年サンデー」「少年マガジン」「少年画報」…。部屋の中にはいつも漫画誌があったし、漫画を読んでいる間は、時間を忘れてその世界に没入できた。

病弱でまともに小学校へもいけなかった男児が、広告業界の片隅にでも身を置くことができたのも、漫画があったからかもしれない。1980年代に「リイド社」から声をかけていただき、約10年程コミックスのタイトルや電車の中吊り広告、新聞広告、TV- CFなどのコピーを書かせていただいた。

リイド社は「ゴルゴ13」の、さいとう・プロダクション出版事業部を分離した形で1974年11月に設立された。隔週発売の「リイドコミック」は、当時の売れっ子芸人や歌手、スポーツ選手などを題材にした、ペーパークラフト作家・写真家の野田亜人氏による表紙で人気だった。

オイラがコピーライターとして手がけたネーミング第1号が、このリイド社のSPコミックスの題名だった。“題名って、漫画家が考えるんじゃないの?”そう思われる方も多いと思うけど、オイラは3~4作作らせていただいた。

哀シャドー」。冤罪ながら死刑を宣告された女囚が、5年間、殺人を請け負えば泣き別れになった息子に再会できるという条件で、哀しみを抱え影のように生きるという設定だった。…結構いい題名でしょ?

原案と作画の両先生の思い入れもあるだろう。何より作品は自分の子ども同然だ。オイラはかなりのプレッシャーを抱え、しかも初めてのネーミングだったので、決まったときはホッと胸を撫でおろしたのを覚えている。
このコミックス、いまでも電子版で入手できる。まぁ、タブレットでも読んでもいいんだけどさ、紙を一枚一枚めくるって、訳もなく好きなんだなぁ。指に伝わってくるあの感覚インクの匂い…。

DVDやCDだってそうだよね。部屋が狭くなったっていいじゃない。パッケージを手に取ってさ、中をひらいてジャケット読んだり、手を伸ばすだけでそこにあるんだぜ…。昭和生まれのオイラは、スワイプなんかしたくないんだよ。

世間では、部屋にな~んもない、ミニマリストの動画が流行ってるらしい。“お前の部屋はショールームか?”、“つまんねーなぁ”。何だか、令和って人の顔が見えなくない?無機質っていうか、バーチャルっていうかさ。

3巻で終わっちゃったけど、「哀シャドー」の初版本、持ってたんだよなぁ。そういえばオイラの部屋には昭和の街並みのジオラマやら、鉄道模型がある。

ずいぶん整理はしたんだけど、これ、買い取ってもらったら、いくらくらいになるんだろう?その時期が迫ってきたら聞いてみようかなぁ…。

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