少し話が前後するけれど、今回は元妻との馴れ初めを書いておこうと思う。それはある日のことだった。突然知らない女性から電話がかかってきた。
数年前パーティーに参加して、懐かしくて電話したのだという。まったく記憶のないオイラは、申し訳ないが覚えていないと電話を切った。
ところが、電話は1回だけじゃ終わらなかった。“まぁ1度くらいお茶でもするか”と、オイラはアリ地獄に落ちるとも知らずに会ってしまった。(あ~っ、ズブズブズブ…)。
で、会ってから数週間もしないうちに、何と元妻は当時住んでいたオイラのアパートから徒歩5分程の距離に引っ越してきてしまったのだ。
当時のオイラはパーティー大好き、合コン大好きで、自宅の電話番号が入った自前の名刺を配りまくっていた。あぁ~、令和のいまに置き換えると個人情報ダダ漏れ。
これが原因でさあ大変、オイラは毎日のように元妻の大攻勢を受けることになってしまった。墓穴を掘るとはこのことだよね。
250ccのバイクに彼女を乗せたオイラを発見すると、元妻は決まってドアをノックしに訪ねて来る。
夜襲をかけてくることも度々あった。何しろドアを開けるまでノックし続けるから、開けないわけにはいかなかった。
引っ越せばよかったのだけれど、結局オイラはこのアパートにいる間、元妻の攻撃に打ち負かされ、計2人の彼女と破綻した。そうこうしている内に母親が癌になった。気持ちが沈んでいると、人間、フッと魔が差すものなんだなぁ。
これまで自分が追いかけてきた女性とは、全て上手くいかなかった。そしてオイラはいま、こんな暗くて悲しい状況にある。
もしかしたら、こんなときにこそ、そばに居てくれる人が自分に相応しい相手なんじゃないか(ダメだってば!)…。きっと、そう思った瞬間にオイラは敗北したのだ。
こうして元妻は目的を達成し、オイラは軍門に下った。結婚式が終わり披露宴でのこと、オイラの兄がビールをつぎながら耳打ちした。“お前、ホントにあの人でいいのか?”。おい、ここで言ってどうするよバカ。兄も兄だ。オイラとおんなじ感じの結婚だったから。
まあ、思い出せば勘違いやら失敗やら、悔やむことは山ほどある。
けれども、神父さんの“病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も、これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?”
オイラも元妻もキリスト教徒ではないけれど、二人ともこの誓いを完全に反故にしたことになる。罰が当たっても文句は言うまい。オイラは戦うぞ。裁判でも何でも、今度こそ負けてなるものか…。
離婚の苦労は、結婚の比じゃないよ④へ続く…
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